「残雪の轍/キャンディポップベリージャム!」感想:シベリア少女鉄道
ダイレクト因果応報
★★★★★★★★☆☆ 8点
あらすじ
いつも通りのシベリア少女鉄道なので、あらすじと呼べるようなモノは存在しないのですが…。
戦国時代風の時代設定のなか、伊賀と甲賀に分かれて闘うことになってしまった忍の話。エビ中の安本彩花さん、元℃-uteの中島早貴さんが友人でありながら闘わなければならなくなった因果が、現代を生きる子孫にまで影響してしまう…。
という内容の舞台。
(こう書くと、とてもマトモな舞台に感じますが)
この設定を「これでもか」とハックしまくって、ピタゴラスイッチ的な構造に仕立て上げてしまう。
土屋亮一さんの変態性が全開です。
<ネタバレ>ダイレクト因果応報
今回仕掛けられた「シカケ」は、“因果応報” がダイレクトに子孫を直撃してしまう、というモノ。
どういう事かと言うと、
「前世の親がマグロを食べれば、摂取したDHAの影響で子孫のIQが200を超える秀才になる」「前世の親が田舎に隠居すれば、子孫も田舎っぺになる」など、先祖の影響をダイレクトに受けてしまい、それによって舞台がドンドン変化します。
女子寮で繰り広げられていた恋愛ドタバタコメディが、トランプ VS. 金正恩 にまで発展し、最終的には「物の怪の館」にまで変化します。
(ほんと何言ってるか分からないと思いますが)
メインキャストである安本彩花さんをトランプに、中島早貴さんを金正恩にしてしまう狂気性は演劇でしか見れないと断言できます。アイドル✕タブーで、ここまで美味しく仕上げてしまうのは、アイドルを使うのがウマい土屋亮一さんならでは。
因果は暴走し、カッパが出てきたり、豚が出てきたり、巨大化した半獣人が出てきたり、これどう収束させるの?という所まで展開した途端、少年ジャンプを代表する「ド◯ゴンボール」のBGMが流れてきて、伏線を一気に回収していきます。
どうやったらこんなこと思いつくの?という感動すら込み上げてきた場面で幕を閉じます。
今回は、いつもの「赤坂レッドシアター」から場所を移し、巨大な「池袋サンシャイン劇場」での公演でした。そのためか、いつもよりネタを早めに展開している印象がありました。
いつもなら1時間くらい観客を焦らしに焦らして、一気にオチに持っていく展開なので、今回はカタルシスは弱め。それでも十二分にキモチイイのですが。
次回は小さめのハコで、大暴れして欲しいなと。
土屋亮一さんが演出したエビ中の舞台はこちら↓
アイドルの使い方、お見事です。