「サマータイムマシン・ブルース」感想:ヨーロッパ企画
傑作におじさんの悲しみを加えて。
★★★★★★★★★☆ 9点
あらすじ
夏、とある大学の、SF研究会の部室。
SF研究を一切しない部員たちと、その奥の暗室に居をかまえる、カメラクラブのメンバーたち。
そんな日常に、ふと見ると、部屋の片隅に見慣れぬ物体。
「これってタイムマシンじゃん!」どうやらそれは本物。興奮する一同。
先発隊に選ばれた3人は早速タイムマシンに乗り込み、昨日へと向かうが…。
映画化もされたヨーロッパ企画の傑作です。13年ぶり再演ということもあり、当時若かったメンバーも完全に“おじさん化”…。代表の上田誠は「演劇の嘘」なんて言っていましたが、むしろ哀愁があり、より“ブルース”になっていた気がします。
<ネタバレ>タイムマシンがもたらしたモノ
物語はタイムパラドックスを絡めた、大学生のドタバタ劇。
突然タイムマシンを手に入れたSF研のメンバーは、壊れてしまった「エアコンのリモコン」を手に入れようと、昨日へと向かいます。首尾よくリモコンを手に入れるも、過去を変えてしまうことで、現在の自分たちが消えてしまうというパラドックスに気づき、リモコンを戻そうとします。そこに「ヴィダルサスーン窃盗事件」「カッパ伝説」などの伏線が絡んで…というのが大筋です。
もう一つの軸が、甲本と柴田の恋。甲本は柴田に片想い中。しかし、その淡い恋はタイムマシンのせいで脆くも打ち砕かれてしまうのです。
タイムマシンをSF研に持ち込んだのは、25年後のSF研部員である田村くん。この田村くんがドタバタ劇の元凶なのですが、ひょんなことから田村くんが柴田の子どもであることが判明します。つまり、柴田は「田村」という名字の男性と結ばれたことが示唆されます。
うなだれる甲本ですが、タイムパラドックスを乗り越えて、未来を変える決心をするシーンで幕が下ります。
「名字って変えられるんかな?」と。
再演の意味
元旦のカウントダウンイベントで再演の発表があってから、なにかと話題になっていたこの舞台。登場人物と、演者たちの実年齢とどんどん乖離していくため、再演はないと言われていました。しかし、おじさん達が演じる大学生も、なんとも味わい深い…。
特に甲本の最後のコトバには、これまでにない哀愁が漂っていて、グッときます。
この15年後を描く「サマータイムマシン・ワンスモア」を見てから思い出すと、また違った味合いになるのでしょうか。今から楽しみです。
「サマータイムマシン・ブルース」の脚本はこちら
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瑛太主演の映画はプライムビデオで見られます。
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