「昔話デスマッチ」感想:柿喰う客
演劇空間の作り方
★★★★★★★☆☆☆ 7点
あらすじとネタバレ
観劇三昧下北沢店の開店1周年を記念して行われた「路上演劇祭」。演劇ファンにはおなじみの、本多劇場横のヴィレッジヴァンガード前の路上で行われたお祭りです。
柿喰う客は寒さがこたえる夕方の出番。
風も強く、人通りも多く、周りもうるさいという、演劇としては劣悪な環境でどのような演劇を見せてくれるのか?という不安と期待を抱いた観劇でした。
内容としては「七味まゆみ」と「大村わたる」のデスマッチ。プロレスのような雰囲気でお互いに昔話を繰り出し、先に「めでたしめでたし」させた方が勝ちという奇想天外な闘い。
このムチャクチャな展開を、審判「加藤ひろたか」と実況「田中穂先」がいい味出しながら支えます。
桃太郎で攻める七味に対し、浦島太郎で守る大村。観客を巻き込みながら、ライブ感ある展開で路上は笑いっぱなし。
上手だな、と思ったのは「投げ銭」の受け取り方。
桃太郎の話を完結させるために、金銀財宝が必要になるのですが、それを観客からの「投げ銭」で賄おうとする荒業。演劇の流れに「投げ銭」を取り込むのは天才的な発想ですね。
昨今のSHOWROOMを始めとする「投げ銭ビジネス」の真逆を行くアイデアには感服しました。
金銀財宝が必要ということで、お客様に投げ銭をお願いする出演者。
— KOMA (@asap22sal) 2018年2月18日
急にアナ雪に話は変わり、オラフになった大村さん
今回どうしても柿喰う客の昔話デスマッチだけは観たいと無理やり娘を連れて行きましたが、本人も凄く楽しかったそうです。
子供も楽しめるイベントでした。#昔話デスマッチ pic.twitter.com/oTWBJi8toe
また、路上という環境を逆手に取り、観客に交ざった柿喰うのメンバーが“ガヤ”を飛ばすことで、プロレス会場のような雰囲気を作り出し、ちゃんと演劇空間を演出していました。
特に中屋敷法仁さんは、スーツに数珠を持ち、ストロングゼロを飲みながら煽ってくるという、フィクショナルなのに本当にいそうな、なんとも言えないキャラクターを演じていました。久しぶりに、舞台に立つ中屋敷さんもまた見てみたいな…。
今日は場所的に見れなかったけど昨日の画像を
— 文月ひづき (@u__day) 2018年2月18日
審判の柵越えが大好きすぎた#昔話デスマッチ #柿喰う客 pic.twitter.com/OxQIvKxZj2
ガードレールを、リングロープに見立てるなど、路上という環境をこれでもかとハックして、虚構を作り出す手腕はさすがの一言。
これが投げ銭だけで見られるのだから、大満足の30分でした。
今後も、ゲリラ的に市街劇とかやって欲しいなと。